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北岳・小太郎山(南アルプス)

山行日
     2002年8月23日   曇り    単独

コース
     広河原→二股→八本歯のコル→北岳→肩ノ小屋→小太郎尾根分岐→小太郎山
     →小太郎尾根分岐→二股→広河原


 昼までは晴れ、という予報を信じて広河原から北岳・小太郎山を歩き広河原に戻る、日帰りコースの計画をたてた。一見きつそうに思えるが、登山地図のコースタイムを合算すると10時間40分であり、単純に考えると早朝5時に出て、午後の4時には戻れることになる。標高差は約1600mで、1998年に槍見温泉から笠ヶ岳を日帰り往復した約2000mに比べたら、容易なことである。また、ネットで検索すると小太郎山の往復を除けば、沢山ヒットした、これも安心材料である。

 とは言っても、何が起こるかやってみなければわからないのも、山歩きである。4:20ライトを付けて広河原の駐車場を出発する、バス停の前を過ぎると「もう登るのですか」と言われ、恥ずかしさに「吊り橋を渡ったところで、明るくなるのを待ちます」と言ってしまった。このコースを歩くのは30年ぶりで3回目である、標識に沿って登山道に入る、間もなく“白根登山口”という古いケルンのような石積みの標識にライトがあたった。“白根”という言語は国土地理院の地図では白根三山、中白根山、白根御池小屋、白根お池、中白根沢、前白根沢と町名として白根町などに用いているが、登山書やインターネットでは白峰三山とか中白峰と“白峰”という言語が一般的化しているのは何故でしょうか。どうでもいいことだ、“わしゃシラネー”だ、というところですか。冗談はさておき、グシャグシャした道を歩き、4:43御池小屋分岐へ着いた、予備知識として大樺沢に沿って歩くとなっているが、ライトを当てて確認する。

 4:54河原に出る、見上げると行く手に、八本歯のコル、北岳の山頂が目に入った。足元も先ほどから明るさを増し、ライトは必要なくなった。間もなく右手の沢を分け、小さな橋を渡る。思いのほか大樺沢が今回は小さく感じる、前回が水量が多く恐怖感みたいなものがあったのだろうか。5:19沢の水は無くなり涸れ沢となり、岩の隙間から聞こえるにチョロチョロと小さな音となった。5:41咲き残ったヤナギランに呼び止められて、小休止、大樺沢の下方には、地蔵は高嶺に遮られて見えないが、鳳凰三山のシルエットが、上方には大きな雪渓があり、その上に八本歯のコルが、その右手には北岳の山頂部が薄日を浴びて輝きを増している。人声が風に乗って聞こえてくる、小屋が近いのだろうか、それともテントでも張ってあるのだろうか。
  
  ヤナギランと鳳凰三山の夜明け                    雪渓と山頂部、大樺沢から

 5:49歩き出すとエンジン音が微かに聞こえてきた、だんだん大きくなって消えた、御池小屋からの音である。6:00二股着、ここを過ぎると右斜面にお花畑が展開した、ホタルブクロ(ヤマホタルブクロかも知れない)、ミヤマハナシノブ、ミソガワソウ、ハクサンフウロ、ミヤマグンナイフウロ、タカネナデシコ、クガイソウ、オヤマリンドウ、イブキボウフウ、イブキトラノオ、ウサギギクなどなどの花が夏の終わりを楽しませてくれた。雪渓近くでテント泊の3人、更に年輩の小屋泊まりの夫婦の先へ、距離はどんどん隔たり10分も経つと人影がわかる大きさになってしまった。
  
    ホタルブクロ                             ミヤマハナシノブ

  
  ミソガワソウ                            タカネグンナイフウロ(中央紫色)とヤマハナシノブ

  
   タカネナデシコ                         ホタルブクロ、クダイソウ(紫)、イブキボウフウ(白)

  
  イブキトラノオ                               ウサギギク

 やがて斜度を増し、ハシゴの連続となる。7:02下りの2人に会う、「今朝は1℃しかなく、寒かった、やっと暖まった」と厚いジャンバーを着た人が話していた。こちらは汗を拭い、息を切らせながら、一歩一歩足を運んでいるのだが、アルバイトの差である。それにしても、塩見岳の予想気温が5,6℃だったから若干低いようだ。続々と下りの人達に会う、雨具を着ている人も多い。7:22池山吊尾根に出る、5,6人が休憩中だった、尾根筋を見通すと沢山の人達がこちらに向かっている。ここからもハシゴのアップダウンが続き、左手には間ノ岳から農鳥岳にかけての稜線が、曇ってきてはいるが、はっきりと勇壮な姿を覗かせていた。
  
  ハシゴの連続、八本歯のコルへ抜ける道              コルと主稜線の間のハシゴ

  
  吊尾根から間ノ岳と農鳥岳                       吊尾根から山頂付近


 7:40吊尾根からの間ノ岳分岐、7:57主稜線にでる、右手の北岳の斜面には、キタダケトリカブト、キンロバイ、イブキジャコウソウ、タカネイブキボウフウ、チシマギキョウ、ハクサンシャジン、タカネツメクサ、タカネナデシコなど岩場の高山植物が背丈を低くして、寒風を避け岩の隙間で咲く花に、秋の訪れを感じた。
  
  キンロバイ、山頂直下の岩場にて                イブキジャコウソウ、山頂直下の岩場にて

  
  キタダケトリカブト、、山頂直下の岩場にて            タカネイブキボウフウ、山頂直下の岩場にて


 8:25、北岳山頂到着、ここまでの所要時間は4時間あまり、南の稜線にはガスがかかり、天気がくだる様相を示していた。山頂にはざっと50人ほど、20人ほど引率したガイドさんが張り切って、きれいに晴れ渡った時の眺望を説明していた。西方から北にかけては、すでにガスがかかり、鳳凰三山から間ノ岳にかけての範囲は、かろうじて見えていた。今歩いてきた稜線から大樺沢を辿ると出発点の広河原の建物や御池小屋が見え、鳥ならば一飛びといった感じである、おそらく直線距離ならば4kmというところだろう。汗に冷たさを感じ、ウインドヤッケを着る。ついに山頂まで霧が流れてきた、この先の天気が読めないので、8:35早々に下山開始とする。
  
  間ノ岳と農鳥岳の主稜線、北岳山頂にて                    北岳山頂のにぎわい

  
    鳳凰三山、北岳山頂にて                      北岳山頂部、肩ノ小屋方面より


 8:47肩ノ小屋、9:07広河原への分岐。分岐点には小太郎山への道標があり、2つのザックが置いてあり、小太郎山までは、視界も確保できそうなので、ザックを置いて往復する。山頂部には、北岳をはじめ周辺の山は、雲が垂れ込めていた。身軽に水とカメラを腰につけて9:10分岐点を出発する。主稜線から離れ、ひっそりとした山歩きがはじまる。ハイマツの間を、ガレ場を、アップダウンしながら、目印のテープ、紐、積石を見失わないように進む。20,30分歩いたところで、単独行の人に出会う、大体は検討がつくが、尋ねると「一番奥に見えているピークが小太郎山で、手前のガレ場のある山を越えていく」と教えてくれた。これで目標がはっきりした、その直後安心したのか、ガレ場で踏み跡からはずれ稜線まで40,50m登り返した。
  
  ヒメコゴメグサ                                トウヤクリンドウ

  
  チシマギキョウ                              小太郎山(一番奥)


 一つ、二つ・・・・と小さいピークを10箇所ほど越え、9:49シラビソとダケカンバの樹林帯に入る、これは150mほどで抜けた。そこで分岐点に置いたザックの2人に出会う、親子らしい男性である、「これを越えればすぐですよ」と激励を受ける。ガレ場に見えた山、実は岩山である、足場もとれ容易に越えられた。10:12、最後の登りにかかる、もう手の届くところだ。10:18小高い半円形をした山頂に着いた、2725m、山梨100名山と書かれた円柱が建っていた。すぐ隣には三角点があり、腰を下ろして周辺を見渡すが線を引いたように上方はガスがかかり、歩いてきた山頂に近い3つばかりのピークが見えるだけであった。下方は谷深く広河原から北沢峠へ通ずる林道が見えるだけだった。10:28早々に下山開始、10:48樹林帯に、帰路は踏み跡を外れることなくたどり、11:30広河原への分岐点に着いた。先ほどの2人が昼食をとっていたので小休止、当年60才の山好きのおっさんと息子ということだ。この往復は登山書で紹介されているより、時間もかかり、コースの取り方も慎重を期す必要があると感じる。繰り返すがテープ、紐、積石と自分の足と感どころである、ゴールの円柱は分岐点から見えている。
  
   小太郎山、左奥                             小太郎山山頂部

  
  小太郎山山頂                                小太郎尾根(歩いてきた尾根筋)

 11:45広河原への下りに入る、11:50御池小屋への道を分ける。斜面一帯はお花畑で、サラシナショウマ、ヤマトリカブト、ウメバチソウ、ヤマハハコ、イブキトラノオ、シシウド、ソバナ、ハクサンフウロが急坂に程良くブレーキをかけてくれる。続々と山頂目指して登ってくる、花に魅せられて立ち止まる人、人、人。40才くらいだろうか、ダブルストックの男性が、弾丸のごとく下っていった、一声かけると「急いでいるわけではないのですが・・・」と一言残して。12:30二股着、ここで朝のコースに交わる、小休止。沢筋もガスがたれこめ、今朝の雰囲気とはまるきり違う、下りだからよいが、登りは大変だ。12:38大樺沢の下りにつく、こまかい雨が落ちてきた。下りは早い、どんどん下ってしまう。30人ほどの団体さんにも道を空けてもらった、13:25御池小屋からの道と合流、13:53広河原駐車場着。
  
  ウメバチソウ                                 サラシナショウマ

  
  シシウド                                  シシウドの群落

  
   ソバナ                                     ヤマハハコ


 所要時間合計9時間33分、雨具を付けずに滑り込みセーフというところ。特別難しいコースではないが、ガスってしまって眺望がきかなかったこと、あと10日も早ければ高山植物も見頃であったことを思うと、少々残念な気がする。

 
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